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ツイッター @hyokofuji ミサ

2020-01-14から1日間の記事一覧

【本】美しき日本人は死なず

『美しき日本人は死なず』 勝谷誠彦 (アスコム) 私は美談が好きじゃないので「勇気と涙の感動10編」なんて帯に書いてある本を手に取ることはまずないし、タイトルにもあまり惹かれなかったのだけど、内容がすごくよかった。『女性自身』という雑誌の「シ…

【本】家族芝居

『家族芝居』 佐川光晴 (文藝春秋) 将来何の職業に就きたいかははっきりわからないものの「父親にはなりたい」と強く思っている男の子が主人公。 彼の言う《父親》が「一家の大黒柱」みたいなものじゃなく「子育てを楽しみたい」というような話なのがユニ…

【本】可笑しなホテル

『可笑しなホテル』 ベティーナ・コバレブスキー(二見書房) 世界のとっておきホテル24軒!ということで、ヘンテコホテルが大集合。著者は実際に泊まりに行っていて、オーナー紹介や近辺の名所案内も面白い。 オーナーの一言を読むと「この人たち、かなり…

【本】星々の舟

『星々の舟』 村山由佳 (文春文庫) 家族の一人ひとりを主人公にした連作短編。長男、次男、長女、次女、父、長男の娘がそれぞれ主人公になっているのでページが進むにつれて家族の全体像が見えてくる。長男の視点で見た父と孫娘の視点で見た父が随分違った…

【本】原稿零枚日記

『原稿零枚日記』 小川洋子 (集英社) 原稿がなかなか進まない作家さんの書いている日記という設定。一日の出来事が記されたあと最後に「原稿零枚」と記される。たまには「原稿五枚」なんて書かれることも。一日分の日記が独立した短編のよう。それでいて初…

【本】公安は誰をマークしているか

『公安は誰をマークしているか』 大島真生 (新潮新書) 本を読んでいたら家族から「何か悪いことしたん?したんやったら早く言い。今やったら許したるから」と言われた。何のことだか分からず困惑してると、私が読んでいる本を指差す。私は公安にマークされ…

【本】浮世の画家

『浮世の画家』 カズオ・イシグロ (ハヤカワepi文庫) 一人称の語りによって回想を交えながら物語が進行していく。すでに終わってしまったことを振り返るので、常に「取り返しのつかないこと」の影が付きまとう。その不穏な感じが好き。カズオ・イシグロの…

【本】生活の設計

『生活の設計』 佐川光晴 (新潮社) 屠蓄場で働いている青年を主人公にした小説。 私小説ではないのでエピソードなどは創作されたものだけど、作者は実際に屠蓄場で働いていて、家族構成もそのまま。 この本が出版された2010年時点でも作者は同じところ…

【本】孤独の部屋

『孤独の部屋』 パトリック・ハミルトン (新人物往来社)第二次世界大戦中のイギリスの下宿が舞台。 灯火管制や配給といった些細な日常の不便の中に戦争の影がうかがえるが、空襲のシーンなどは一切なく、下宿の人々は呑気に生活しているように見える。 下…

【本】エッセイ

『エッセイ』 柳宗理 (平凡社) 柳宗理のエッセイを集めた本。柳宗悦の息子で日本民藝館の館長を務めていた彼が紹介するのものの中には、意外にも機械で作られた製品が多い。民芸精神は骨董的な手工芸品の中だけにあるのではなく、民芸品とは呼べないような…

【本】天国旅行

『天国旅行』 三浦しをん (新潮社) 「心中」をテーマにした短編集。 タイトルはTHE YELLOW MONKEYの「天国旅行」という曲から取ったそうだ。 目次の後ろにこの曲の歌詞が記されている。 (せまいベッドの列車で天国旅行に行くんだよ 汚れた心とこの世にさ…

【本】アカペラ

『アカペラ』 山本文緒 (新潮社) ボケていると娘に疑われているおじいちゃんと、おじいちゃんはボケてなんかいないと断言する中学生の孫。 いとこ同士の恋愛が認められず親戚からも故郷からも逃げ出してしまって、20年振りに帰郷した三十代の男。 病気の…

【本】すべての女は痩せすぎである

『すべての女は痩せすぎである』 姫野カオルコ (大和出版) 姫野カオルコのエッセイ。タイトルは「すべての女は痩せすぎである」と「すべての男はマザコンである」のどっちにするか迷ったそうなのだが、その辺の話はあまり印象に残っていない。というのも、…

【本】ディアスポラ

『ディアスポラ』 勝谷誠彦 文藝春秋 勝谷さん本人が自信作と言っていた作品だけど、十年前に雑誌に掲載されたきり本の形で出版されなかった作品なので、今まで読めずにいた。今月初めに文藝春秋から出版されて、早速買って読んでみた。 原発事故で居住不能…

【本】何も持たず存在するということ

『何も持たず存在するということ』 角田光代 (幻戯書房)新聞とか雑誌とか色んなところに掲載された角田さんのエッセイを集めたもの。 本を読むことや書くことに対する考え方や、『対岸の彼女』や『ロック母』など角田さんの作品が書かれた時の角田さんの心…