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ツイッター @hyokofuji ミサ

【映画】キートン将軍

キートン将軍』 1926年 アメリ

バスター・キートンのコメディ。『キートンの大列車追跡』とも呼ばれる。

機関車を使ったアクションが最高!

舞台は1861年のアメリカ。結婚の申込に行ったキートンの前でその女性の兄が南北戦争に志願するという。プロポーズは先延ばしにして自分も入隊の申込をするために事務所に行くのだけど、なぜか入隊させてもらえない。キートンは機関手で、その職業がこれから必要とされるため入隊させてもらえなかったのだけど、本人はそれを知らない。彼女からも彼女の家族からも「志願したのに受け入れてもらえなかった」ということを信じてもらえず、彼は「南部の恥だ」と言われてしまう。

キートンにとって機関車「将軍号」は親友。彼はションボリしている時に列車の車輪部分の軸に腰をかける。そういうところがすごくいいなって思った。がっかりしているキートンが列車に腰掛けたまま車庫に入っていっちゃうシーンが一番好き。

キートンは他の男性陣と違って戦争に対して血が騒ぐような感覚を持ったりしないのだけど、それでも「志願しない男、戦争で活躍しない男は一人前ではない」という価値観は共有している。だから自分も何とか戦いに加わろうとするのだけど、どうしてもとんちんかんな感じになって一人だけ浮いてしまう。そんなキートンを見ているのが愉快でよかった。

キートンが唯一本気を出すのは北軍に「将軍号」を奪われてしまった時。彼は「将軍号」を取り戻すため「テキサス号」に乗って北軍の兵士たちを追いかける。もちろん一人で行くのではなくちゃんと応援を頼んで出発するのだが、連結器が外れていたようで後ろを振り返ると誰もいない。幸運なのはキートン一人しか乗っていないということに敵が気付いていないこと。そのため敵は直接戦闘をしかけてくるのではなく「テキサス号」を近づかせないための妨害行為をしかけてくる。キートンが線路に横たわる木材に上から木材をぶつけて弾き飛ばしてしまうシーンに感心してしまった。こういう計算されつくしたアクションが次々出てくるところがこの映画の魅力だ。

南軍が退却する中、キートンが一人で北軍の陣地に突っ込んでいくところが私のツボだった。戦況とか全然見えてなくて、薪をくべることに一心不乱になっているキートンがすごくいい。北軍ともすれ違うのだけど、なぜか素通りされてしまう。キートンは一応身を隠すのだけど、そのタイミングがすごく遅くて「今ごろ??」と思ってしまった。ここも笑えた。

敵に上から覗かれる格好になって、列車に一人しか乗っていないということに気付かれてしまったキートンは大ピンチ。森に隠れるのだけど、お腹がすいてお屋敷に忍び込んだ。食べ物を確保してテーブルの下に隠れたキートンがくしゃみをこらえる様子がおかしかった。

列車を取り戻すことしか頭になかったのに、期せずしてスパイみたいな役割を果たすことになってしまうキートン。奇襲攻撃の情報を入手してしまい、それを南部に伝えなければならなくなってしまうのだ。このお屋敷で列車が盗まれた時に一緒に連れ去られてしまっていた彼女を偶然見つける。スパイ作戦に加え彼女を救出するというミッションが加わった。

キートンが彼女を救出したあと、二人は力を合わせて「将軍号」を取り戻す。キートンにとって列車は相棒だったのだけど、彼女とのコンビもそれに劣らぬぐらい息が合っていて見ていて楽しかった。

彼女のことも大事なんだろうけど、それと同じぐらいかそれ以上に機関車が好きなんだろうなって思えるキートンのキャラクターが魅力的だった。

監督:バスター・キートン

    クライド・ブラックマン