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ツイッター @hyokofuji ミサ

【本】沈黙博物館

小川洋子『沈黙博物館』

村の人びとの形見を老婆が集め、それを展示する博物館を建設する。 
収集する形見の条件は、肉体が存在した証拠を最も生々しく記憶しているものであること。 
〈死を完結させる品〉は、〈過去を閉じ込める箱〉ではなく、〈死後の世界を映し出す鏡〉。 

友人でも家族でもない人間の形見を手に入れるのは難しい。 
時には盗みに入ることも…。 
博物館建設を依頼された技師は、形見収集に必要なものを〈老いた世界に対する敬愛の情〉であると語る。 

死を扱いながら、感傷的にならず、生きた歳月の積み重ねを愛情をもって見つめる。 
やっぱり、小川洋子はいいなぁと思った。