【本】床下仙人
『床下仙人』 原宏一(祥伝社文庫)
家庭や会社を舞台にした、ちょっと不思議な5つの短編。
新築の家に仙人みたいな男が住み着いてしまう『床下仙人』
人々の記憶には残っていないのに、記録上は確かに存在している『てんぷら社員』
マンションを砦に、男性中心社会の転覆を企てる『戦争管理組合』
社長実務経験5年以上、大企業を倒産させたことのある実力者(?)が派遣されてくる『派遣社長』
家族に捨てられた中年男と、家族を捨てた女子高生がタッグを組んで渋谷で商売を始める『シューシャイン・ギャング』
現代人の、仕事や家族との関わり方を皮肉っているようで、悲哀やユーモアも感じさせる。
悲惨な状況に追い込まれたり、理不尽な思いをしながらも逞しさを見せてくれる主人公たちが魅力的。
笑えないテーマなのに湿っぽくならない。
かといって、笑い飛ばしてしまうわけでもないところが絶妙。