道教の美術展
不老長寿を願ったり仙人になるのを目標とすることで知られる、神仙思想。
その思想が、老子を祖として崇める【道教】というものに発展していく。
道教の思想がどういうものなのかよく知らないのだが、仏教から影響を受けたり、日本の修験道や民間信仰に影響を与えたりしていて、いろんなところで他のものと絡み合っているのが面白い。
もともと道教では偶像を崇めることはなかったそうなのだが、5世紀ごろ仏教の影響を受け、石像が作られるようになっていく。
初めは仏像に良く似ていたのが、だんだん道教像固有の特徴を持っていくところが面白い。
凭几(ひょうぎ)という体をもたせかけるU字型の台が正面に置かれているのが道教ならではの特徴で、それは威厳を示すための道具らしい。
宋・元のころから彫刻だけでなく絵画での表現が増えてくる。
南宋時代に描かれた老子像や元時代に描かれた蝦蟇仙人図が印象に残った。
一番面白かったのは【地獄と冥界・十王思想】というコーナー。
閻魔王など、十人の地獄の裁判官が死者を裁いていく。
その十人に加え、死者の着物を剥ぎ取る〈奪衣婆〉、生前の行いを読み上げる〈司命・司録〉の十三人がずらっと並んだ像は、見ごたえがあった。
図像の閻魔王も顔が真っ赤で怖い。
これを見ると、地獄に落ちたくないと思っちゃうなぁ。