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ツイッター @hyokofuji ミサ

2020-01-09から1日間の記事一覧

【本】恋愛嫌い

『恋愛嫌い』 平安寿子 (集英社) 一緒にランチを食べる仲の独身女性三人。 勤め先が違うから、お互いの職場の人間の悪口を気楽に言い合えてストレス発散にもなっている。 恋愛体質とは言いがたいこの三人が、結婚や恋愛について語るのが面白い。 それぞれ…

【本】強運の持ち主

『強運の持ち主』 瀬尾まいこ (文春文庫) 上司と折り合いが悪く半年で退職した吉田幸子は、「一人でできる仕事がしたい」と思い、占い師になる。 ルイーズ吉田として活躍し始めた彼女によると、占い師の仕事は簡単だそうだ。 性格を言い当て、この先いいこ…

【本】ああ正妻

『ああ正妻』 姫野カオルコ (集英社) 大手出版社に勤める小早川という男が自分の結婚について友人に「ぼ、ぼくは、いまでは、だまされたような気がするんですけどね…」と語り始め、相手を絶句させる。 彼はいつも恐縮していてすぐにどもってしまう気のいい…

【本】猛スピードで母は

『猛スピードで母は』 長嶋有 (文藝春秋) 「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」の二編が入っているのだけど、どちらもちょっと頼りない大人と子どもにしてはしっかりした子どもが出てくる。 「サイドカーに犬」の薫は、両親の不仲や母親の家出に不安…

【本】整形美女

『整形美女』 姫野カオルコ (新潮社) 戦災で傷を負った人間に手術を施してきた、1923年生まれの整形専門医、大曾根のもとに一通の手紙が届く。 手術を依頼する文章に、『計画』と題して本人が記した手術内容が添えられている。 差出人は、二十二歳の繭…

【本】ララピポ

『ララピポ』奥田英朗(幻冬舎文庫) 容姿、学歴、職業、名声、自由に使えるお金の額…そういったもので自分と他人を比べて劣等感を持ってしまう人たちが主人公の物語。 どの人も正攻法で自信をつけるということをしないし、他人を見下すような態度をとりがち…

【本】誰か

『誰か』宮部みゆき(文春文庫) 今多コンツェルン会長の娘婿になった杉村三郎。 妻と四歳の娘と幸せに暮らしているのだが、その幸せがいつか消えてしまうのではないかという漠然とした不安を抱えている。 大金持ちの娘との結婚を純粋に祝福してくれる人はな…

道教の美術展

大阪市立美術館の「道教の美術展」に行ってきた。不老長寿を願ったり仙人になるのを目標とすることで知られる、神仙思想。 その思想が、老子を祖として崇める【道教】というものに発展していく。 道教の思想がどういうものなのかよく知らないのだが、仏教か…

【本】センセイの鞄

『センセイの鞄』 川上弘美 (文春文庫) 三十七のツキコさんに、七十近いセンセイ。 歳の差を感じさせないほど間のとり方の似た二人が、ゆっくり関係を深めていく。 一緒にいてもどこかに行ってしまいそうで、それでいて一緒にいないときも遠くなってしまわ…

【本】星々の悲しみ

『星々の悲しみ』宮本輝(文春文庫) 予備校に通う浪人生でありながら、なかなか予備校へは足が向かず、中之島の図書館で本を読んで過ごす主人公。 本に夢中になっているかと思えば、女の子に声を掛けたり、わざわざ声を掛けたわりにはその女の子にたいして…

【本】希望の国のエクソダス

『希望の国のエクソダス』 村上龍 (文春文庫) 2002年、80万人の中学生による集団不登校が起こった。中学生たちは学校へ行かなくなった理由を「学校はリスクの特定もしてくれないし、サバイバルするための手段も与えてくれないから」と説明する。 起…

やなぎみわ婆々娘々(美術展)

「やなぎみわ 婆々娘々(ポーポーニャンニャン)」すごく良かった。 初めに展示されている「マイ・グランドマザーズ・シリーズ」は一般公募のモデルが【50年後の自らの理想の姿】に特殊メイクやCGを使って変身するもの。 26人の理想の老婆像は見ごたえ…

初めてのカジヒデキライブ

7月15日、心斎橋クラブクアトロのカジくんライブに行って来た。 私はライブというものに行くのが初めて! もちろん生でカジくんを見るのも初めて! 前日は熱を出すし、ちょっと厳しいかなぁとハラハラしてたんだけど、うちから近いし、のんびりしてから行…

【映画】小三治

十三の第七芸術劇場で6月26日(金)まで公開されていたドキュメンタリー映画、『小三冶』を観に行った。 最終日に何とか観に行けたのだ! 柳家小三冶を追いかけたドキュメンタリー映画なのだけど、すごくよかった! 私が小三冶ファンになったのは、ごく最…

【本】邪魔

『邪魔』 奥田英朗 (講談社) 複数の登場人物の視点で、一つの事件が描かれていく。 主な登場人物は三人。 七年前に妻を亡くし、義母を心の支えにしている36歳の刑事。 仲間とつるんで悪さをする男子高校生。 スーパーでパートをしながら二人の子どもを育…

【本】恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。

『恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。』角田光代(角川文庫) 角田さんのエッセイ集。 二週間に一度、ネット上で公開されていた角田さんの日記をまとめたものらしく、2003年の夏から約二年間の角田さんの日常が綴られる。 なんでもないような出来事や…

【本】ゆで卵

『ゆで卵』 辺見庸 (角川書店) 人は、いつかは死んでしまう。 それは、当たり前のことだけど、たいてい人は自分が死ぬなんて全く想像せずに日々を過ごしていく。 たとえ、人の死を何度経験しても、自分の死になじむことは決してない。 でも、確かにあると…

【本】空へ向かう花

『空へ向かう花』 小路幸也 (講談社) 「このタイトルはどういう意味なんだろう」と思って読み始める。 ビルの屋上から飛び降りようとする男の子に隣のビルの屋上にいた女の子が偶然気づき、とっさに鏡で光を反射して自殺を止める。 我に返った男の子は、女…

【本】青春漂流

『青春漂流』 立花隆 (講談社文庫) 立花隆が青春真っ只中の11人の青年(22~36歳)にインタビューした内容をまとめたもの。 1985年に刊行された単行本が文庫化されたものだから、ずいぶん古い話。 ここで言うところの【青春】は、恋愛や友達関係…

【本】ビタミンF

『ビタミンF』 重松清(新潮社) 四十前後の父親が家族について悩んだり考えたりする数日間を描く短編集。 「そろそろ、息子とケンカをしても勝てなくなるかもしれないなぁ」と自分の衰えを感じる三十八歳の父親。 気の弱い息子にイライラして、二人でいるの…

【本】僕の名前は。アルピニスト野口健の青春

『僕の名前は。アルピニスト野口健の青春』 一志治夫(講談社文庫) 山登りやら冒険やらに全く興味のない私は、野口健にも植村直己にもほとんど関心がなかった。 ただテレビで見る野口健には「妙に人を惹きつけるところがあるなぁ」と思っていた。 テレビで…

【本】映画篇

『映画篇』 金城一紀(集英社) 登場人物が様々な形で映画と関わる短編集。 レンタルビデオ店の店員がサービスで貸してくれたビデオで久しぶりに大笑いした、夫を亡くしたばかりの女性。 両親の離婚問題に胸を痛めながら、夏休みに50本の映画を観た小学生…

【本】GO

『GO』金城一紀(角川文庫) すいぶん前に映画で観たのが、この作品と出会ったきっかけだったのだけど、その時に「これだ!」と思った。 イメージに訴えて伝えたいことを伝えてくるようなところがあって、それが私の性に合うのか、すこーんと入ってくる。 …

【本】恋愛の格差

『恋愛の格差』村上龍(幻冬舎文庫) 村上龍のエッセイを読んでると、「そこまではっきり言っていいのか??敵が増えるぞ。そんなこと聞きたくない人は、いっぱいいるぞ。」とよく思うのだが、ヒヤヒヤしながらも楽しんで読んでしまう。 彼は特に一部の人間…

芸術都市パリの100年展

ユトリロとアンリ・ルソーの絵が見たくて、京都まで行ってしまった。 京都市美術館の《芸術都市パリの100年展》 1830~1930年のパリに焦点をあてた展覧会で、ルノワール、セザンヌ、ユトリロなどが展示されていた。 エッフェル塔など、パリの町並…

佐伯祐三展

大阪市立美術館の佐伯祐三展を見に行った。ユトリロに影響を受けて描いた、パリの街角の作品が見たくて出かけたのだけど、それ以外の作品も沢山見られて良かった。パリに行く前の作品で、自画像や勝浦の風景を描いたものは、後の作品と随分印象が違っていて…

【本】こっちへお入り

『こっちへお入り』 平安寿子 (祥伝社) 友達が趣味で参加する落語教室の発表会を見に行った江利。 落語には全く興味がなかったのだけど、みんながあんまり楽しそうだから、それにつられて江利も落語教室の生徒に。 寿限無から練習を始めすっかり夢中になっ…

【本】将棋の子

『将棋の子』 大崎善生 (講談社文庫) 小学六年の大崎善生が少しの間通っていた北海道将棋会館。 そこで出会ったのが小学五年の成田英二。 腹話術の人形のような真っ白でやせっぽちの少年が、有段者しか上がれないはずの和室に躊躇なく上がり、どっかりとあ…