【本】ファインマンさんは超天才
『ファインマンさんは超天才』 クリストファー・サイクス
原子爆弾の開発やチャレンジャー事故の調査にも関わった天才科学者ファインマン。
彼の友人や家族、本人も登場して彼について大いに語る。
この本では科学者に必要な資質として、次の三つが挙げられていた。
○仲間の圧力に左右されない。
○問題の本質を見極め、希望的観測に頼らない。
○多くのやり方をもち、上手くいかなければ他の方法に切り替える。
自分のアイデアを愛しすぎないこと。
これが科学者にとって一番難しいことかもしれない。
天才ファインマンを育てた家庭環境も気になるところ。
彼の父親は子どもが科学者になるよう無理強いすることはなかったが、とても教育熱心。
彼が科学者になる上で多大な影響を及ぼしたのは間違いない。
何に対しても、わかったつもりにならず、それが本当はどういう意味なのか考える。
息子に恐竜の絵を見せる時も、
「こいつがうちの庭に立っているとすると、この二階の窓に頭をつっこめるぐらい背が高いっていうことだよ。」
と実感として把握できるような話し方をする。
ファインマンは幼い頃から、あらゆる事に興味を持ち、徹底的に観察し、追究することを覚えた。
芸術家の自然観と科学者の自然観についての論争も面白い。
絵描きの友達の「科学者は自然を前にしてもそれをバラバラに分解して捉えるんだから、自然の美しさなんてわかりゃしない。」という言い分に対して、ファインマンは次のように答える。
「科学が自然から驚異や神秘を取り去ってしまうという考えは間違っている。スミレの香りが分子であることを知っていたからって、その美しさが減るとでもいうのかい?」
何事も突き止めずにはおけず、自らを【探検家】と称したファインマン。自分の死でさえも、事実として真っ直ぐ受け入れ、現実から決して顔をそむけることがない。
真っ正直な彼にどぎまぎする人も少なくなかったそうだが、そこが彼の一番の魅力だと思う。