KONCOS 2012年〜2013年
初めてレコードを買った。
KONCOS『ピアノフォルテ』
KONCOS(コンコス)というのは、リディムサウンターでドラムを担当していたタイチくんと、ギターを担当していたヒロシくんが、バンド解散後に結成したデュオ。
タイチくんがピアノで、ヒロシくんがギターと歌。
タイチくんの力強いピアノもヒロシくんの書く絵本のような情景が浮かぶ歌詞も大好きだ。
すっごく可愛い歌詞なんだけど、可愛いだけじゃなくて、ぐんぐん夢が膨らんでいくような強さが感じられるから好き。
そんな歌詞にピッタリのヒロシくんの声も素晴らしい。
『ピアノフォルテ』には、カジヒデキ「亜熱帯ガール」へのアンサーソングとして作られた「KO・NA・YU・KI BOY」という曲も入っている。
「亜熱帯ガール」はカジくんが作曲して、カジヒデキとリディムサウンターでレコーディングした曲。
「KO・NA・YU・KI BOY」の「間違ったって It’s all right!」っていう歌詞がカジくんぽいなって、私は思う。
KONCOSの二人は『ピアノフォルテ』で故郷、帯広のことを歌った。
そして、カジくんがリリースした『SWEET SWEDISH WINTER』はカジくんにとって大切な場所、スウェーデンについて歌ったもの。
このカジくんのアルバムにはKONCOSの二人が参加していて、こういうの、すごく素敵だなって思う。
情景が広がるところが魅力の『ピアノフォルテ』の中でも、特に「ムスカリンリン」という曲の情景の広がり方が私は好き。
「スッとぬけると、アッとおどろく、濃いブルー」の部分がたまらなくいいと思う。
「すずらん ららんらん」「むすかり りりんりん」って歌詞もかわいい。
タイチくんのピアノが素晴らしいし、ライブでヒロシくんが手拍子をしながら歌ってくれるのも嬉しい。
「トマトを食べよう」って歌詞の歌なんだけど、作詞したヒロシくんの嫌いな食べ物は、トマト…。
KONCOSは2012年11月2日から2013年2月24日までの間、全国を回ってライブをしていた。
北海道2カ所を含む全都道府県、合計48カ所!
「旅するコンコス~みんなのまちとぼくらのおんがく~」と題してのツアーだ。
私はフライヤーを冷蔵庫に貼って、毎日のように「今日はここにいるな」とか「次はここだな」とか確認していた。
ツイッターやブログで旅の様子を味わえるのも楽しかった。
今まで旅行に全然興味がなかったのだけど、タイチくんのブログを読んで、私も旅に出たくなった。
旅するコンコスのツアーは神戸に住んでいる友だちと参加した。
神戸と大阪の二カ所。
私は大阪に住んでいるので、友だちのまちと私のまちだ。
神戸(ボ・タンバリンカフェ)で参加したのが11月10日。5カ所目。
ここでは、ツアーに向けての意気込みや『ピアノフォルテ』完成までの話を聴けたのがよかった。
そして何より、レコード愛溢れるタイチくんの話に感動しっぱなしだった。
「研究と創造を同時にしない」というルールを自分に課したという話も印象に残っている。
私はチャーべくんがカジくんとKONCOSを引き合わせてくれたおかげでKONCOSを知って、KONCOSが『ピアノフォルテ』をCD付きレコードという形でリリースしてくれたおかげで、音楽をレコードで聴くようになった。
実は生まれてから今まで一度もレコードに触ったことがなかったのだ。
友だちに教えてもらってレコードプレーヤーを買って、KONCOSの『ピアノフォルテ』をレコードで聴いた。
初めて触るレコードに恐る恐る針を置く。
CDの音とレコードの音は全然違った。
CD付きレコードという形で出してくれたので、聴き比べることができて面白い。
CDとレコードでは、レコーディングの仕方も変えたそうだ。
レコードで音楽を聴くのが楽しくて、今まで以上に音楽を聴くのが好きになった。
レコード屋さんにも時々行って、もっともっと色んな曲を聴いてみたい。
神戸のライブのあと、KONCOSの二人が持ち歩いている等身大パネルのような顔はめ看板を使って写真撮影をした。
タイチくんにも一緒に写真を撮ってもらった。
写真のお礼を言ったあと、タイチくんがあまりにも気さくに話をしてくれるので、思わず「『ピアノフォルテ』で初めてレコードに触りました。よかったです」と言ってしまった。
するとタイチくんが「お~!いいんですよ、そういうのがいいんですよ!」と言って、いきなり握手をしてくれた。
ちょっとビックリした。でも、すごく嬉しかった。
「この人、本当にレコードが好きなんだな」って思って、感動した。
何かを本気で大事にしている人はかっこいい。
タイチくんのことがますます好きになった。
KONCOSはツアー中に番外編として心斎橋のFLAKE RECORDSでインストアライブをしてくれた。
私も参加したのだけど、この日もタイチくんのレコード愛あふれる話が楽しかったし、好きなレコードをかけてくれたりしてレコード屋さんならではのライブになった。
私はこの日ノルウェーのミュージシャンソンドレ・ラルケの名前を覚えた。
「目黒川と阿武隈川と札内川との関係性」という曲で鉄道の音をレコードでかけて演奏に重ねてくれたのがかっこよかった。
ヒロシくんが「虹色レインボー」の歌詞について説明してくれたのも嬉しかった。
そこから三ヶ月経過して、2月22日は大阪でのライブ。
心斎橋のBar MUSZE。
ピアノがある会場だったのが嬉しい。
この日はチャーベくんが来てくれるという情報が直前に入っていたので、それも楽しみだった。
ニット帽を何度も落としながら激しくピアノを弾くタイチくんがかっこいい。
ヒロシくんの声、すごくいいなって改めて思った。
それに、チャーベくんのパーカッション、最高!
MCではタイチくんが息継ぎなしに一気にここまでの旅について語ってくれた。
長いようで短かったなぁと思って、私まで感無量。
もうすぐ旅が終わってしまうことがすごく残念に思えた。
タイチくんが一気に思いを語ったあとで、ヒロシくんに「ヒロシは?」って振ったら、ヒロシくんが一言「同じです」とだけ言うから大笑いしてしまった。
あまりにもアッサリしている…。
この二人の組み合わせ、すごくいいなって思った。
「ならせ!タンバリン」のタイチくんのダンスは見ているだけでも度肝を抜かれていたのに、この日はみんなで踊ることになってしまった。
まさか自分が一緒に踊ることになるとは思っていなかったからビックリしたけど、すごく楽しかった。
『今日からスタート』をみんなで歌ったのも楽しかったし、歌詞カードをもらえたのも嬉しかった。
歌詞カードにタイチくん、ヒロシくん、チャーベくんのサインを入れてもらえたのがすっごく嬉しい。額に入れて飾った。
大阪のあとは名古屋と東京。
そこで旅するコンコスも終わってしまう。
東京でのファイナルはすごく感動的だったみたいで、私も参加したかったなぁって心底思った。
超満員の会場で、カジくんも駆けつけたそうだ。
大阪でのライブは46回目。
演奏もトークも神戸で見た5回目のライブよりずっとよくなっているように思えて、私もこういう武者修行的なことをやりたくなってしまった。
数をこなすことによる強さはもちろんあるだろうけど、単純に回数を重ねただけではない魅力が感じられて、そこを見られたのが嬉しかった。
ライブをするためだけにその土地を訪れるのとは違って、意識的に「旅」をすることで初めて身につけられるものがあるような気がした。
その土地の物を食べ、人と交流し、その場所でしかできない経験を貪欲に真剣に積み重ねて行った結果、初めて手に入れられるものがあって、それがKONCOSのライブをどんどん魅力的なものにしていたんじゃないかなって思う。
旅するコンコスに参加できて本当によかった。
タイチくんの旅するコンコス日記も回を重ねるごとに素晴らしくなっていて、いつも更新されるのが楽しみだった。
自分の訪れたまちの魅力をこんな風に伝えられるのは、タイチくん自身が魅力的な人だからだと思う。
タイチくんの文章、大好きだ。
私もそんな文章が書ける人間になりたい。