There's a place where I can go

ツイッター @hyokofuji ミサ

【映画】キートンの探偵学入門

キートンの探偵学入門』 1924年 アメリ

バスター・キートンのコメディ映画。サイレントなのでセリフではなく動きで笑わせる感じ。キートンがにこりともしない真面目な顔をしているのがいい。

バナナの皮で滑ったり、ポケットから4ドルの質札が出てきて時計泥棒の疑いをかけられたり、期待通りの展開で話が進んでいくところが嬉しい。

誤解がもとで彼女との関係がギクシャクして、最終的には誤解が解けるというストーリーも、単純なんだけどすごく好き。

この作品ではキートンが探偵と映写技師の二つの肩書を持つ男を演じる。探偵といっても怪しいマニュアル本に従って素人丸出しの捜査をするだけなんだけど、そこがまた愉快でいい。「容疑者に密着せよ」という鉄則に従って、恋のライバルでもあり時計泥棒の真犯人でもある男に影のようにくっついて歩くところが私のツボだった。尾行してるのバレバレだよ!

その直後の汽車の上を走るシーンも好き。キートンは体を張ったアクションを見せてくれるので、いつもワクワクしながら見守ってしまう。

映写技師のキートンが映画の上映中に居眠りをする。その隙に抜け出したキートンの魂が観客席の後ろからスクリーンに近づいていって、スクリーンの中に入ってしまう。上映していた映画は真珠が盗まれる話なのだけど、いつの間にかその映画の登場人物が自分の好きな女性とその父親とライバルの男に変わってしまっている。

女性とライバルの男が接近するのを見かねてキートンはスクリーンに飛び込んでしまったのだけど、映画に登場したキートンは世界一の探偵シャーロックJrとして活躍する。容疑者たちから命を狙われるキートンがギリギリのところで身をかわすのが爽快!

シャーロックJrの助手も登場して、助手との名コンビぶりを見せてくれるところも嬉しい。壁を抜けるシーンやバイクのハンドルに座って疾走するシーンが大好き。後ろを向いた時に運転席にいるはずの助手が消えているところがツボだった。私は何かに夢中になって猛進している人がいつの間にやら一人になってて「あれ?誰もついてきてない…」って状態になってしまう瞬間が好き。だから「このシーン、いいなぁ」と思ってしまった。

バイクで爆走するキートンが間一髪のところで機関車をよけるのが最高だった!

その直後彼女が閉じ込められている部屋にバイクで突っ込んじゃうシーンも、その瞬間に音楽が切り替わるのが印象的ですごくよかった。全体を通して音楽が切り替わるタイミングの絶妙さに感動させられっぱなしだった。

やっぱりキートンすごいな。

借りたDVDには活弁をつけたバージョンも収録されていたので、そっちの方でも観てみた。邪魔になるかなぁと思ったのだけど、こっちもすごくいい。面白かった。弁士さんのつく映画を生で観てみたいな。

監督:バスター・キートン