There's a place where I can go

ツイッター @hyokofuji ミサ

M先生に会いに行く!

大学のM先生に会う約束をしてからの一週間近く、落ち着かなくて仕方なかった。 
久しぶりに先生に会えると思うと前日はお腹の辺りがふわふわして困った。 

百貨店で買った焼き菓子を持って、先生の研究室を訪ねた。 
先生は外出中で「すぐ戻る」とメモが貼ってあったので、そのまま待っていたら、程なく先生が現れる。 
スラっとしていていつもながらかっこいい。 
挨拶して部屋に入れてもらう。 

コップを洗いながら「この部屋でこんなにキレイなコップを使う人は初めてですね」と先生が言う。 
基本的にコップは洗わないらしい。 
別の人から聞いた話では、コップに入ったホコリをフッと息を吹きかけて払い、インスタントコーヒーを計りもしないで瓶から直接入れてお湯を注ぐという適当ぶり。 
今日は珍しくドリップコーヒーを入れてくれたのだが、一つのフィルターで二杯分入れていた…。

二杯目、薄くない??

他の先生はコーヒー豆を挽いてくれたりするらしいので、大違いだ。 
コップを洗ってくれたのは病人に対する気遣いだろうか。 

持ってきたクッキーを食べながら話をする。 
この日の先生は、先生が持っているシャツの中で私が一番好きな、青のギンガムチェックのシャツを着ていた。 
このシャツにグレーのズボン、緑のセーターを着ている時の服装が一番好き。 

先生は二年ほど前に潰瘍を患った。 
その話をしている時に「ストレスがよくないらしいから、仕事で怒られてもカリカリしないようにする」とおっしゃったので、「先生が怒られることなんてあるのですか」と尋ねた。 
「あなたもご存知のように、僕はよく遅刻をするでしょう。あれをどこででもやるから…」と先生が答えたので(なるほど)と思った。 

先生は病的な遅刻魔だ。 
遅刻をしている最中に「ちょっと遅刻しそうなんで…」と電話をかけてきたりする。 
(すでに遅刻してるよ)と思うのだが…それは言えない。 

「『友だち同士だから遅れてもいいかな』って思う人は多いけど、どこででもやる人は珍しいですね」と私が言うと、「うん。『その点では首尾一貫してるな』ってよく褒められる」とのこと。 
褒めてないような気もするが、私はこすい計算をしないこういう性格が大好きだ。 

色々とまとめてお礼を言って、私の病気の話と、体調がよくなって図書館で勉強していることを伝える。 
「10時間勉強しても何ともないですよ」と自慢すると、「それは危ない兆候じゃないか」と言われる。 
私が「健康な人はみんな8時間以上働いているじゃないですか」と反論すると、先生は一日に10時間も働けないと言う。 

「土日にセンター試験の監督をさせられてヘロヘロになった」という先生の言葉に「それは先生が朝が苦手だからでしょう」と返すも、結局「10時間はやりすぎ。8時間でも多い。6時間ぐらいで十分」と言い切られてしまう。 
「6時間働けば、『俺って働き者だなぁ』と思う」と断言する先生だが、壁が本棚と化している部屋でのそのセリフには説得力がない。 
先生の言うことはたいてい信用して素直に従う私だが、これだけは信用しないことに決めた。 

「呑気そうに見える先生の性格が羨ましいです」と言うと、先生は「これにも修行がいるのですよ」と得意気だ。 
私もいつかあの域に到達できるのだろうか。 
できるとしてもまだまだ先だろうと思う。 

「飲み会を企画したら来てくれますか」なんて聞いたら「還暦祝いパーティー」をやろうとしていることがモロバレになってしまうので、今日は黙っていようと思ったのだが、先生が「同窓会はしないのですか」と聞かれるので、間髪いれずに「もし、やったら、来て下さいますか」と尋ねる。 
「用事がなければ行く」という返事をもらったので、これでバッチリだ。 
体調を整えてしっかり準備をしようと思う。 

先生から葉書で「訪ねて来い」と言ってもらってから実際にメールで約束をするまで半年もぐずぐずしていたことについて、「本当に行ってもいいのかな。社交辞令じゃないかな。迷惑じゃないかな。と思って、お正月ぐらいになってやっと、『よしっ、メールをしよう』と思った」と言ったら、「いいんですよ。それでいいんですよ」と力強く言って下さり、ほっとした。

「またいつでも来ていい」と言って下さったけど、一年ぐらいは我慢しようと思う。 
今日も、30分以内に引き上げるつもりが1時間半も長居してしまって、申し訳なかったなぁと思った。 

帰り際先生が「頑張って、でも頑張りすぎないで」と言ってくれたのが嬉しかった。 
先生に「頑張って」とか言われたら何でもできそうだ。