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ツイッター @hyokofuji ミサ

【本】公安は誰をマークしているか

『公安は誰をマークしているか』 大島真生 (新潮新書) 

本を読んでいたら家族から「何か悪いことしたん?したんやったら早く言い。今やったら許したるから」と言われた。何のことだか分からず困惑してると、私が読んでいる本を指差す。私は公安にマークされるようなことはしてないよ! 

公安っていったいどんな仕事をしているんだろう。オウム事件とか、過激派とか、アルカイダとか国家を相手に犯罪行為を仕掛けてくるような人たちを見張っているようなイメージがあるだけで、具体的にどんな課があってどんな捜査方法が取られているのか全く知らない。そんな公安の仕事内容について詳しく書かれているのがこの本。 

それぞれの章が「公安総務課vs共産党」「公安一課vs過激派」「公安二課vs革マル」「公安三課vs右翼」「外事一課vsロシアスパイ」「外事二課vs北朝鮮工作員」「外事三課vsアルカーイダ」というふうになっていて、部署によって細かく監視する対象が分かれているようだ。 

一つ一つが小説の題材になりそうな内容でちょっとワクワクしてしまった。ロシアスパイの情報の受け渡しがマイクロフィルムを清涼飲料水の空き缶に入れて神社の境内に置いていくというやり方だったりするのに驚いた。「なんと、アナログな!」と思ったのだけど、インターネットを使って情報をやり取りする方が情報を盗まれやすいそうで、意外にアナログな方法が今でも使われているそうだ。 

実際の事件を例にとって警視庁公安部の各セクションがどんな仕事をしているのか書いてくれているので、「この捜査の仕方はちょっと行き過ぎなんじゃないかな」と思う部分もある。冒頭で「私は公安にマークされるようなことはしてないよ」と言ったけど、犯罪行為だけでなくその原因になりそうな思想まで監視の対象にされてしまうと、私にだって公安から監視される可能性が全くないとは言えない。 

外事三課のパソコンから情報流出したことで三課の監視対象がイスラム教信者だと分かったり、親族が「赤旗」を購読しているという理由で共産党のシンパ扱いされることがあるのを知ると、公安自体を国民が見張らないといけないんじゃないかなって思う。